エイリアン岡田

組織には6つの集団がいます。周囲に影響を与えたり、組織を動かせるリーダー(指導者)、その横にいてリーダーに対していろいろ言ってあげられる参謀、言ったことをちゃんとやるフォロワー(追随者)。あとは言ったこともやらなくて、ぐれているパラサイト(寄生者)、リーダーの逆で周囲を腐らせるキャンサー(組織のガン)。最後の1つはエイリアン(異端者)。エイリアンは、個人としては才気煥発で優れているけれども、コンサバティブな組織の中では排除される傾向にあります。
そういうエイリアンは、今やっていることを創造的に壊していくことができる人たちです。ただ、その人たちが生きるための大前提があって、それはスポンサーがいること。今回の例で言うと、ジーコみたいな人が徹底的に、「その人は正しい」ということをやっていかない限り、(その人は)まさにエイリアンとして扱われ、外に出ざるを得ない。今回のケースはそういうことだったんじゃないかと思います。

マーサー・ヒューマン・リソースコンサルティング日本法人社長柴田励司


こんな集団がいるかどうかは知らない。
確かに当てはまりそうな気はする。


去年地元の大学OB会で元サッカー日本代表監督の岡田さんに講演していただいた。
正直な話、サッカーの監督なんてつまらん話しかしないだろうと偏見に満ちた態度で聞き始めたのだが、
これが、まったくもって予想に反していた。
現場に則したマネジメントの話としていろんな含蓄に富んでいた。


確か横浜マリノスの監督就任間もない頃の話だったと記憶するが、こんなエピソードがあった。
練習で立てたコーンの回りを選手に走らせていた時、みんなコーンの内側をだらだらと走っていたが、
その中で一人だけコーンの外側を走っていた選手がいた。
まわりの選手は、監督の言われた通りマジメくさってコーンの外側を走っていると冷ややかな目で見ていたらしい。
岡田監督は、その大多数の選手に「何やってんだ?コーンの外側を走れって言ってるだろ?」と走り直しをさせた。間もなくコーンの内側を走る選手はいなくなり全員が外側を走るようになった。そうなるとコーンの内側を走る選手は、白い目で見られるようになった。


そんな話だったと思う。


「エイリアン」は状況によって、また何が規範かによって変わるだろうと思う。けれど、大抵それなりに理由のある真っ当なことをしていることが多い。
「エイリアン」を大多数にすることはないし、
大多数になったら、エイリアンはまた別の少数派なことをやり始めるかもしれない。
いずれにしても、「エイリアン」が真っ当なことをやっているんであれば、
「正しい」と言う人は必要だし、正しいと言うことが言える状況を作ることが必要なんだと思う。
「リーダー」がスポンサーであればやりやすい。
そうでなければ、スポンサーを一人でも増やすことだろう。
そうなると、スポンサーをスポンサーであり続けさせることが必要になる。
弱いスポンサーは大概くじけてしまう。言動を白い目で見られるからだ。
それでも言い続けてもらうためには何が必要だろうか。
「参謀」に近い人が後押しをすることが効果的だろう。
そんな構図を保っていくこと。これは非常に難しいけれどやっていくしかないだろう。


「心は見えない。人の評価は行動で決まる」とバットマンが言っていた。
マネジメントに関して言えばその通りだろう。