ロンギヌスの槍と杉浦茂


エヴァンゲリオンロンギヌスの槍
エヴァの製作元が企画したエヴァ×日本のものづくり な創作シリーズ EVA AT WORK のうちのひとつ。

このロンギヌスの槍Yahoo!オークションで160万で落札されたらしい。一時期は100億まで値がつり上がったとのことだが、キャンセルか不正入札か何かで結局この金額に落ち着いたようだ。高いのか安いのかよくわからない金額だけど、落札した方は、個人のリフォーム業者さんのよう。

この EVA AT WORK は13の作品があり、このほかには、初号機の能面などと言う興味深いモノもある。

EVA AT WORK work12
エヴァンゲリオンは、リアルタイム(大学行ってた頃)では、こんなアニメがあるんだあと衝撃的ではあった。
でも最近ちょっとだけかいつまんで見返してみると、キャラクターの面白さとかテーマの深遠さとか、映像表現としての新しさとか、そういったものはあるなあ。とは感じた。
ただ、作品それ自体は、そんな分析以上の、引き込まれるものがあまりなかった。
趣味の問題か?とも思うけど。

キャラクターは面白いので、このEVA AT WORKはすごい興味が引かれる。ちょっと欲しい。フィギュアも造形的に魅力ある
物語は、キリスト教と言う宗教が持つダイナミズムをベースにした思考のマスゲームとしてよく出来ている気もする。
映像も、実写を交えたり、観念的なもののアニメーションでの表現とか、面白い。

でも、このアニメが面白いかと聞かれれば、自分的にはあまり面白いと思わないのが率直な今の感想。

絵で見せるものは、絵で無ければ見せられないものを見せるのが筋のような気がする。
例えばエヴァを実写化したとする。
そのうえで時間軸にのせると、この作品が伝えうることはアニメの場合の半分になるかもしれない。
しかし、時間軸を取り除けば、アニメも実写も伝えうるコトがあまり変わらなくなるような気がする。

そもそも自分は漫画好きなのですが、例えば杉浦茂の漫画。

少年児雷也 (1) (河出文庫)

少年児雷也 (1) (河出文庫)


時代背景もあってか食べ物のシーンが頻発するが、それらのカットはこの絵以外では表現できないと思う。
たとえば、ここに出てくるのは、今ではご馳走でもなんでもない餅とか焼きブタとかそんな食べ物だけど、これ以上にうまそうな食い物に、現実世界でまだわたしはお目にかかったことが無いし、一生出会えることは無いと思う。
これがマンガとしての絵による表現の、他では代用できないすばらしさだと思う。

つまり、EVA AT WORK でロンギヌスの槍は魅力のあるものになるけど、
杉浦茂 AT WORKでは観念的に範をとらないかぎり魅力のある「餅」は作れないと思う。ということです。


最近、日本でもヤッターマンガッチャマンなんかが実写化されるらしいけれど、この実写版は、なんとなく想像するに結構見れるものになるような気がする。それは、映像が流れる時間軸を考慮してもだ。と言うことは、アニメーションである必要性はないのかなあとも思う。

といったことを個人的には思う中で、あらためてこの作品を考えてみる。
際立ったキャラがあって、そこから派生するEVA AT WORK のようなものや、フィギュアがあって、
物語について思考のゲームを展開する視聴者があって、
いろんな関連するサービスや商品やメディアや言論が派生して、
そんな多様なもの全てが、このアニメーションで表現されるべきことであったのかもしれない。
と思えば、やはりこのアニメーション作品はすごいなあ。

フィギュアもすごくよく出来てるし。
(実際セブン限定版を購入しちゃってる自分。)